民主平和統一諮問会議

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第37回南北関係専門家討論会〜北朝鮮離脱住民と共に行う統一への準備~

  • 参与協力課
  • 2024.02.29

第37回南北関係専門家討論会〜北朝鮮離脱住民と共に行う統一への準備~


- 意識改善と生活密着型定着支援課題 -


民主平和統一諮問会議(首席副議長キム・グァンヨン)は、2月28日(水)午後1時30分に、プレジデントホテル・モーツァルトホール(ソウル中区所在)で「北朝鮮離脱住民と共に行う統一への準備」を大テーマに、第37回南北関係専門家討論会を開催した。

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▶︎ 専門家討論会の様子


トン・スンチョル民主平和統一諮問会議事務次長は開会挨拶で、「昨年民主平統が実施した国民世論調査で、国民の3人に2人は『北朝鮮離脱住民が今後の南北の社会・文化の統合や統一に役立つ』と思っており、北朝鮮離脱住民の円滑な定着を図るために『官民が協力する必要がある』と思っていることがわかった」と説明した。また、「議長の大統領が強調しているように、民主平統は、北朝鮮離脱住民を温かく包み込むためにメンターとしての役割を果たすことに全力を尽くしていく」と強調した。

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▶︎ トン・スンチョル民主平和統一諮問会議事務次長の開会挨拶


開会式の後に行われた討論会では、キム・ヨンス西江大学名誉教授(北朝鮮研究所所長)が司会を務めた。「北朝鮮離脱住民に対する認識と定着支援課題」をテーマに1番目に発表を行ったソン・ヒョンジン梨花女子大学統一学研究院客員研究委員は、「年齢別・世代別・分野別に政府や自治体が果たしている役割や行っている支援が十分であるということもできるが、問題は、似たようなサービスが重複していることや無縁故者など死角が存在するということであり、支援政策の存在自体を認識していないケースもある」と指摘した上で、「このような部分を見つけ出してしっかりと届けるための体制を構築する上で、統一部、ハナ財団、自治体、官民の役割分担が必要になってくる」と提言した。


「北朝鮮離脱住民の定着の実態と課題:経済活動分野」をテーマに発表を行ったチャン・インスク南北ハナ財団戦略企画室次長は、「北朝鮮離脱住民実態調査」の分析結果をもとに、「北朝鮮離脱住民の自立度を高め、生活の質を向上させるためには多角的な支援が求められる。北朝鮮離脱住民が働きやすい就職先を見つけることが必要だ」と述べた。その上で、「支援においては効率的・合理的な配分が必要であり、重複・競争・疎外の問題に注目する必要があるという意見に同意する」としつつも、「これからは物質的支援など目に見える成果にこだわりすぎず、目に見えない支援、例えば“温かいご近所さん”として人生に寄り添うメンターとしての役割を考える必要がある」と付け加えた。


「北朝鮮離脱住民の定着の実態と課題:日常生活分野」をテーマに発表を行ったシン・ミニョ=新しく一つになった祖国のための会常任代表は、「メンターも生活人として自分の人生の何パーセントを費やすかという現実的な問題に直面することになるだろう」と評価し、それに対するソリューションとして、「メンターにも価値を与え、関心を惹きつけるためのプロモーションを開発する必要がある」と述べた。

 

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▶︎ 司会・発表を行った専門家ら(左から、ソン・ヒョンジン梨花女子大学統一学研究院客員研究委員、キム・ヨンス西江大学名誉教授、チャン・インスク南北ハナ財団戦略企画室次長)


総合討論では、まず、チョ・ミョンスク黎明学校校長が、「中国やロシアから入国する北朝鮮離脱住民の子どもたちは、長期間にわたって主な保護者のいない状況で欠損や欠乏にさらされており、家庭の問題と韓国社会への定着という2つの課題に直面することになる」とし、「同じ親の子どもでも北朝鮮で生まれた子どもと第三国で生まれた子どもへの支援の差は家庭内でも疎外を引き起こす原因となるだけに、北朝鮮離脱住民の子どもの教育と支援の問題については、経験豊富で専門性のあるメンターによる支援が必要だ」と指摘した。


パク・デヒョン=(社)統一の飛び石・ウリオン代表は、「北朝鮮離脱住民大学生の学業中断率は一般的な大学生よりも2倍以上高い。また、北朝鮮離脱住民の金融への理解度は社会的弱者層の中でも最も低い」とし、「そのほかにも犯罪被害などさまざまな問題に直面している北朝鮮離脱住民青少年に対して、メンタリングによる指導や助言を行う必要がある」と述べた。キム・グモク=キム・グモク料理専門学院院長は、「北朝鮮への送還や強制労働などにより心身ともに疲弊している中壮年層の北朝鮮離脱住民に対しては、保護支援期間を超えた医療給付の支援が切実に求められている。専門機関への訪問を忌避する北朝鮮離脱住民の特性上、心の痛みを打ち明けられるメンターが必要だ」と助言した。


キム・ヒョク農漁村研究院先任研究員は、「農山漁村への定着に対する北朝鮮離脱住民の関心が高まっている一方で、それを支援するための制度的・財政的な支援体制が不十分な状態にある」と指摘し、「地方消滅がささやかれ、農村の人口が急減する中で、自治体とも協力して農山漁村への定着政策と北朝鮮離脱住民の定着との連携を図るための議論を行うことが必要だ」と述べた。ソ・ヒャンラン忠南大学病院北朝鮮離脱住民相談室室長は、「13年にわたって忠南大学病院の北朝鮮離脱住民相談室に勤務し、約8,600人の初・再診患者の診療を支援してきた」とし、「病院で北朝鮮離脱住民を支援していることが認知されるようになり、支援を求める人も増えている。心身の痛みを抱えている北朝鮮離脱住民に現実的な支援を提供できることにやりがいを感じている」と述べた。


イ・ヨンヒョン法務法人イレ弁護士は、「北朝鮮離脱住民の固着した法意識と法文化を変えるためには、ハナ院の修了後も継続的な教育が必要だ」と指摘した上で、「映像や教材などを用いたオン・オフラインでの法教育に加え、法専門家と北朝鮮離脱住民とのマッチングによる定期的な法律メンタリングを提供すること」を提案した。チョン・グァンソン月刊朝鮮記者は、「北朝鮮離脱住民に対する意識改善においてメディアが果たす役割も重要だが、映画やドラマなど日常生活の中でご近所さんとして一緒に暮らしている姿を自然な形で見せることが大事だと思っている」と述べた。最後に、チョ・ヒョンジョン統一研究院副研究委員は、「自治体の意識改善事業は一方通行・一過性の限界があり、ハナ財団・ハナセンターの相談サービスなどはアクセス性や利便性に制約があるため、北朝鮮離脱住民女性の仕事・家庭の両立を支援するためには、1:1のカスタマイズされたメンタリングを提供することが必要だ」と述べた。

 

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▶︎ 発表・議論を行った専門家ら(左から、シン・ミニョ=新しく一つになった祖国のための会常任代表、イ・ヨンヒョン法務法人イレ弁護士、チョン・グァンソン月刊朝鮮記者、チョ・ヒョンジョン統一研究院副研究委員)


 

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▶︎ 議論を行った専門家ら(左から、パク・デヒョン=(社)統一の飛び石・ウリオン代表、チョ・ミョンスク黎明学校校長、キム・ヒョク農漁村研究院先任研究員、ソ・ヒャンラン忠南大学病院北朝鮮離脱住民相談室室長、キム・グモク=キム・グモク料理専門学院院長)


総合討論に参加した専門家らは、メンタリングの必要性に共感しつつも、「メンター・メンティーの関係において単純な助言、教育による上下関係や違和感を感じさせないように注意する必要がある」とし、「友人、ご近所さんという水平的な関係を保ち続けられるように互いに努力することが大事だ」と述べ、議論を締めくくった。

 

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▶︎ 記念撮影で“北朝鮮離脱住民との温かい同行”のメッセージを伝える参加者たち



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